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タックスニュース
2013.03.22


老舗と経営革新



 多くの企業は、その成功の要因となった商品・サービス、技術、販売方法などに固執しすぎることによって失敗します。

しかし、永きにわたって経営を維持してきた老舗は、伝統をしっかりと継承しつつも、伝統に安住することなくつねに経営革新をつづけています。

 老舗における経営維持ための秘訣として、「変化させていない伝統」を継承しつつも、「時の流れに対応した変化」を同時に行っている点があげられます。

まず、「変化させていない伝統」についてみていくと、老舗は顧客第一主義、本業重視、品質本位、従業員重視などの基本理念を継承しています。

こうした基本理念は、老舗のもつ目に見えない価値観として組織内で継承されています。

 一方で、「時代の流れに対応した変化」についてみていくと、老舗では顧客第一主義の基本理念の下で、顧客ニーズの変化への対応を絶えず行っており、商品・サービス・販売チャネル・新規事業開発などの目に見える形での経営革新をおこしています。

 こうした老舗の取組みは、松尾芭蕉が提唱した俳諧理念・哲学の一つである「不易流行」にも通ずるところがあります。

「不易」とは時代が変わっても変化しない本質であり、「流行」とは時代とともに移り変わっていく事象を指します。

両者は相反する存在ではなく、むしろ補完しあい不可分な関係にあります。

こうした、「不易流行」の理念は、老舗をはじめとする企業経営のあり方にも通ずる点が少なくありません。

 では、老舗における「変化させていない伝統」の継承と、「時の流れに対応した変化」に基づく経営革新は、現在の中小企業においてどのような形でみられるのでしょうか。

 それを理解するために業歴100年を超える食酢製造業者A社の取組をみていきましょう。

 A社は、1876年に創業し、現社長で4代目にあたります。
同社では創業以来、「酢造りは酒造りから」「微生物を考える」をモットーとした企業理念に基づき酢造りを行ってきています。

そして、そうした酢造りに注力する姿勢は従業員にも自然な形で共有されています。

 一方で、A社では、顧客ニーズの変化に対応する形でさまざまな経営革新を行っています。

 その1例として、A社ではそのまま飲んでおいしい酢である「デザートビネガー」という新しいジャンルの商品群を先行的に立ち上げたことで知られています。

 また、A社では酢の小売専門店を百貨店に出店し、「デザートビネガー」などの自社製品を提供しています。

この小売専門店はアンテナショップの機能だけでなく、同社の酢づくりの独自性を訴える店としても機能しているのです。

 さらに、製造面では、衛生面の工夫、配慮を強化して品質管理を重視する新工場を建設しました。

 このようにA社では、本業重視、品質本位の企業理念を変化させていない伝統として継承しつつも、顧客ニーズの変化に合わせて新製品を開発したり、小売業に進出して販路開拓を行ったりするなどの経営革新を積極的に推進しています。

このように老舗にみられる経営革新の取組みは、現在の企業においても形を変えてみられているのです。



(記事提供者:(株)税務研究会 税研情報センター)



記事提供 ゆりかご倶楽部





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