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タックスニュース
2013.02.22


老舗における事業承継と人づくり



 昨今、永きに亘って存続を実現している老舗の事業承継や人づくりの取組みに注目が集まっています。
ここでは老舗における事業承継や人づくりの特徴についてみていきましょう。

 まず、老舗では養子や娘婿などといった実子にこだわらない後継者選びがなされてきました。

老舗の多くは、家代々の職業である「家業」からはじまり発展してきました。

家業で重要なのは家の存続であり、通常男子がいれば、その内の長男が結婚をして家を継ぐのが一般的です。
しかし老舗では子供がいない場合に、家長となる後継者を養子として迎え入れたり、女子しかいない場合には、婿を迎えて結婚させたりする形で後継者選びがなされてきたのです。

このように老舗では、養子や娘婿などから優秀な人材を選んで「家」を存続させる方法がとられており、こうした実子にこだわらない後継者選びが老舗の長期的な発展につながったと考えられています。

 また、老舗ではOJT(職場内訓練)による人材育成が行われている点も大きな特徴です。
人材育成は10代前半の「丁稚」の頃から行われます。

丁稚の主な仕事は雑用など先輩の補助的な作業が中心です。
そして「丁稚」の上の「手代」になるとOJTによる人材育成が本格化します。

手代には、出納、売買、納品などの商売に参画させることで業務を教え、一人前の業務担当者になるように育成します。
そして「手代」から「番頭」になるまでには、丁稚から起算すると20年余りの長い年季奉公を必要とします。

このような長期的な人材育成は、老舗が従業員を大切にした人づくりに取り組んできたことを示しているとも考えられるのです。

 老舗にみられる事業承継や人づくりの特徴は、現在の中小企業においてどのような形でみられるのでしょうか。
それを理解するために業歴100年を超える釣りエサ製造業者A社の事業承継と人づくりの事例をみていきましょう。

 A社は、1910年に創業し、創業当時は蚕のさなぎから養魚、養鶏用の飼料や食用油を製造していました。
しかし、製糸業の衰退などの要因により新規事業の立ち上げによる事業転換を余儀なくされました。

 当時社長であった創業者と、その右腕人材であったB氏が新規事業を検討した結果、今後レジャー産業として成長が期待され、これまで取り扱っていたさなぎを活用できる釣りエサ事業への進出を決断、1967年より釣りエサの製造販売を開始しました。

 B氏は釣りエサ事業拡大の中心的な担い手となり、創業者の急逝に伴い1978年に2代目社長に就任、製品開発力、販売網などの事業基盤を構築しました。

 現社長は創業者の三男で、1964年にA社に入社しました。
入社後は前社長のB氏と二人三脚で釣りエサ事業の拡大に取り組み、2000年に社長に就任しました。

現社長は従業員に権限を委譲するなど、従業員の自主性を大切にする経営を行っています。

 A社では、2代目社長に右腕人材のB氏が就任するなど必ずしも実子にこだわらない後継者選びが行われるなど、事業承継や人づくりの取組みは、今も形を変え続いているといえます。


(記事提供者:(株)税務研究会 税研情報センター)



記事提供 ゆりかご倶楽部





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