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タックスニュース
2012.09.21


後継経営者に求められる社外経験



 中小企業を取り巻く経営環境が目まぐるしく変化する中、事業を承継する後継経営者には、

先代経営者から引き継いだ事業を更に発展させるべく経営革新を遂行することが求められます。

経営革新を遂行できる能力を形成するために有効と考えられるのが、社外経験を積むことです。

社外経験の典型的な例として、後継経営者に他社勤務を経験させることがよく行われています。

「他人の飯を食う」という言い方があります。

直接的な意味は「他家に寄食して実世間での経験を積むこと」ですが、

後継経営者に社外経験を積ませるときにもよく用いられる表現です。

 『中小企業白書2004年版』によると、

ほとんどの経営者にとって他社での就業経験が有効であったことが示されています。

他社就業が役に立っている内容についてみると「視野の拡大」「社内の管理」「社外との交渉」「人的ネットワーク」などの項目が高い割合を占めています。

 また、社外経験によって得られるものは上記の内容だけに留まらず、

後継者が経営革新を遂行するための新たなアイデアを獲得するためにも有効であると考えられます。

子会社・関連会社等がある場合には、一定程度実力が備わった段階で、

それらの会社の経営を任せてみる方法がとられることがあります。

さらに、外部機関によるセミナーへの参加や社会人大学院への通学などは、

後継者を自社内に置きつつ、知識の習得や広い視野を育成するのに効果的と考えられます。

 このように、多くの中小企業において、後継経営者の能力形成のために社外経験を積ませる取組みが幅広く行われているのです。


 では、中小企業の後継経営者の能力形成にとって社外経験が具体的にどのように役立っているのでしょうか?

印刷業A社の後継経営者の事例をみていきましょう。

 A社の現社長は大学卒業後電力会社に入社し、その後義父である先代社長からの呼びかけに応じ、

電力会社を退社、後を継ぐつもりでA社に入社しました。

入社直後はシステム開発室長という肩書で入り、その3〜4ヵ月後には取締役に就任、

先代社長が75歳となったのを契機に社長に就任しました。

 現社長は電力会社入社時に幅広い知識・経験を習得しました。

それは、現社長がA社に入社後行った2つの経営革新にも現れています。

 一つ目は「環境経営」の推進です。

A社は環境省の「エコアクション21」の認証取得に向けた全社的な取組みを、

現社長が取締役の時に主導して進めていきました。

 二つ目は、「IT化」の推進です。

環境経営を全社的に推進する過程で業務の効率化を図るため、

営業、製作、印刷等の全作業を一元管理できる「案件処理一括管理システム」を構築しました。

 A社の現社長は、電力会社勤務という社外経験を積むことによって、

入社後の環境経営やIT化推進などの経営革新遂行につながるアイデアや知識、

新事業創出に関するマネジメントの経験などといった広範な知識や経験を得ています。

 このように、後継経営者が社外経験を積むことによって、

広い視野や人的ネットワークだけでなく経営革新遂行のための知識・アイデアを習得することができるのです。


(記事提供者:(株)税務研究会 税研情報センター)


記事提供 ゆりかご倶楽部







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