タックスニュース
2012.10.26


後継経営者特有のリーダーシップの発揮



「第二創業」という言葉があるように、事業承継は中小企業の後継経営者が

先代経営者から引き継いだ事業を更に発展させるチャンスにも成りえます。

しかしながら、後継経営者が事業を承継した直後に大幅な事業の転換などに

取り組もうとして、先代から引き継いだ事業を悪い方向へと導いてしまうケースも

少なくありません。

後継経営者の場合は、先代から承継した既存の企業組織との間に新たな信頼関係を

構築することなどが求められます。

そのためには先代経営者とは異なったリーダーシップの発揮が求められるのです。

後継経営者特有のリーダーシップの特徴は

「開かれた経営」、「自立型社員の育成・活用」の2点に整理されます。

「開かれた経営」についてみると、後継経営者は事業方針等を明確に示し、

数値化された経営情報を従業員などと共有しています。

そして重要な意思決定については、

共有化された経営情報に基づき会議等で組織的に決定しています。

「自立型社員の育成・活用」についてみると、

後継経営者自らが全てを行うのではなく「従業員に任せる」ことを信条としています。

経営者がビジョン、方針、方向性、アイデアを示し、

それに従って、従業員が自主的に考え、動く組織づくりをすることによって、

従業員からも新たなアイデアが生まれるのです。

後継経営者は、会社のことを熟知している先代経営者とは異なり、

自分よりも会社のことをよく把握している古参従業員などの人心の掌握を図り、

取引先、金融機関などの支持、理解を取り付けることで事業を円滑に運営できるのです。

では、「開かれた経営」、「自立型社員の育成・活用」を柱とする

後継経営者特有のリーダーシップはどのように発揮されるのでしょうか。

具体的な事例に沿ってみていきましょう。

コネクタなどの接続端子を製造するA社の現社長は、

42歳のときに先代経営者の兄から事業を承継し、4代目の社長に就任しました。

そしてそれまでの主力事業で採算が悪化していた電話機の組立事業から撤退して

コネクタ市場へと展開し、現在では自社製品をもつ研究開発型企業への転換を

果たしています。

まず「開かれた経営」についてみると、

社長就任直後に電話機組立事業からの撤退及び新事業の進出に関する5ヵ年計画を作成し、

それを社内外に広く示しました。

これにより現状に甘んじてはいけないという危機意識が従業員に生まれました。

次に「自立型社員の育成・活用」についてみると、

社員一人ひとりの積み重ねで企業が成り立つとの考えから従業員の育成を

重視するとともに、従業員の意識改革に取り組みました。

具体的には、現社長が講師を務める経営塾を年数回開催し、人材育成に努めています。

この経営塾は、全社員を対象とした自由参加の講座ですが参加率は高く、

提出されたレポートにはすべて現社長がコメントを付けて返却しています。
 
このように後継経営者は、後継経営者特有のリーダーシップを発揮することで、

社内の従業員や社外の金融機関、取引先などのステークホルダーの支持・理解を確保し、

新事業進出などの経営革新を実現しているのです。


(記事提供者:(株)税務研究会 税研情報センター)


記事提供 ゆりかご倶楽部







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