タックスニュース
2012.05.28


海外における現地化と人材育成について



 新興国市場の立ち上がりに伴い、日本の大手メーカーは新興国市場向けの製品を開発、生産、販売する過程で現地化を推進しています。

 自動車産業を例にとってみてみますと、日本や欧米等の先進国市場では、ハイブリッド車や電気自動車といった次世代自動車へのニーズが高まっています。

これに対し新興国市場では、小型の低価格車に対するニーズが高まっており、日本の大手完成車メーカーは新興国向けの低価格車を開発し市場投入を進めています。

 新興国向けの低価格車の例としては、日産自動車がタイで生産を行っている新型「マーチ」やトヨタ自動車がインドで生産を行っている「エティオス」などがあげられます。

 「マーチ」を例にあげますと、開発にあたっては、当初より新興国での生産・販売を念頭においた開発が行われ、生産拠点を新興国に新設・増設する動きも加速しています。

先進国で生産し海外で輸出するといったこれまでの方式とは異なり、日本向けのものも含めタイでの生産に全面移管されました。

このような現状を受け、新興国市場で生き残っていくために、現地で働く優秀な人材の確保をどう行うかが課題となっています。

新興国の多くではジョブホッピングなどの問題を抱えており、優秀な人材を定着させることは困難だと言われているからです。

 では、新興国市場において現地化を進める過程で、日本企業はどのように優秀な人材を確保しているのでしょうか。

 そのヒントを提供してくれる企業としてトヨタ自動車の事例を紹介します。
トヨタは新興国向け低価格車第一号として「エティオス」を2010年12月にインドで販売しました。

「エティオス」の生産はインドのバンガロールにおいて、インドにおけるトヨタ車の製造・販売子会社であるトヨタ・キルロスカ・モーター(略称:TKM)が行っています。

 バンガロールにおけるトヨタの生産拠点には、トヨタ工業技術学校(略称:TTTI)という職業訓練校があります。

これは、トヨタが2007年に設立した学校で、日本の高校生程度の年齢かつ経済的に恵まれないインドの若者を受け入れています。

期間は3年間で、学費は無料、手当ももらえます。
同校ではまず、溶接、組立、塗装などの加工技術を学び、後半にかけては、TKMの製造現場で実習も行われ、トヨタの生産のノウハウを学んでいきます。

 こうした職業訓練校は、社会貢献的な位置づけをもつことはもちろんですが、優れた人材の確保にも役立っています。

同校の卒業生はトヨタに就職することは義務とはされていませんが、卒業生のほとんどがその後もトヨタで勤務しつづけることを希望するそうです。

 トヨタにおける職業訓練校の取組みは、貧しい新興国の若者を育成することで企業へのロイヤリティーを高め、定着率の高い人材を確保することにつながっているのです。


(記事提供者:(株)税務研究会 税研情報センター)

記事提供 ゆりかご倶楽部







平成24年の記事一覧へ




川島会計事務所
人間中心のTAXを見つめています