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タックスニュース
2012.03.26


中小企業の海外販路開拓



 人口減少社会を迎え、今後国内市場の縮小が予測される中、大企業だけでなく中小企業においても自社の製品・商品の販路を海外へと拡大することが求められています。

 最近では、とくに中国、インドなどのアジア新興国への販路開拓が注目されています。
その背景はどこにあるのでしょうか。

 第一に高い経済成長率があげられます。

ユーロ圏における緊張の高まりが世界経済回復の不安材料となっている中でも、アジア新興国においては依然として高い経済成長率が見込まれています。

IMFは2012年1月に発表した世界経済見通しにおいて、2012年の先進国の経済成長率を1.2%と予測しているのに対し、アジア新興国では7.3%と高い成長率を見込んでいます。

 第二に富裕層、中間層の拡大があげられます。

「通商白書2011年版」によると、2010年から2020年にかけての富裕層(世帯年間可処分所得35,000ドル以上)の伸びは、先進国の1.2倍に対し、アジア新興国では3.4倍と急拡大することが見込まれています。

またアジア新興国の中間層(世帯年間可処分所得5,000ドル以上35,000ドル未満)の数は、2000年の2.4億人に対し、2020年は23.1億人と20年間で約10倍に拡大することが見込まれています。

 また、中小企業の海外販路開拓は経営面のメリットも大きいといわれています。

「中小企業白書2009年版」によると、大企業、中小企業ともに直接輸出を行ったり、海外事業所がある方が、売上高営業利益率が高い傾向にあることが示されています。

このように、中小企業の海外販路開拓は売上だけでなく、利益の増加による事業基盤の強化にもつながるのです。


 では、実際に中小企業が海外販路開拓、なかでもとくに新興国市場への販路開拓を実現するためには、どのようにすればよいのでしょうか?

 第一に、「日本製」であることをアピールし、日本と同じ製品・商品やコンセプトをあえて投入することがあげられます。

新興国市場では、日本製に対する信頼や憧れが存在するため、日本で生産したものを海外に持ちこむ「Made in Japan」や、日系企業が日本的な品質管理を背景に現地で生産を行う「Made by Japan」が差別化要因となるのです。

 第二に、本物志向でニッチ市場を開拓することがあげられます。

中小企業の場合はヒト・モノ・カネなどといった経営資源に制約があることから、大手企業が得意とする資本力やコストでの競争となる汎用品マーケットで勝負したり、現地企業が得意とする品質を下げた低価格製品を投入したりすることは困難です。

このため、技術力や品質で現地企業を寄せ付けない本物志向で参入しつつ、大手企業や現地企業と競合しないニッチ市場を開拓することが競争力の確保につながります。

このため中小企業においては、新興国の中間層よりも富裕層をターゲットとすることが求められます。

 第三に、流通に積極的に関与し、提供する品質をコントロールすることがあげられます。

中小企業が海外で販売する製品・商品は品質が重要なポイントとなるため、品質を維持するために代理店や現地の従業員を管理する仕組みやルールを構築することが求められるのです。

 このように、日本の中小企業の強みである技術や品質面の高さを積極的にアピールする戦略をとることが、海外販路開拓へとつながっていくのです。


(記事提供者:(株)税務研究会 税研情報センター)


記事提供 ゆりかご倶楽部







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