タックスニュース
2012.03.02


2012年3月の税務トピックス


 平成23年度税制改正案は、ねじれ国会の関係から第一次改正(平成23年6月22日可決・同年6月30日施行)と第二次改正(平成23年11月30日可決・同年12月2日施行)に分かれて成立しています。

 そこで同改正案の目玉として掲げられていた「納税環境整備」等は、どのように決着したのかについて述べてみたいと思います。


 T「納税環境整備」に係る法案の決着について

 納税環境整備に係る法案は、大別して「納税者権利憲章」に係る法案と「税務調査手続等」に係る法案の二つから構成されていました。

 「納税者権利憲章」に係る法案は、第二次改正において削除されました。

 「税務調査手続等」については、官尊民卑の体制から官民平等の体制に変えることが民主国家におけるわが国の税制の基礎だとした主張がようやく認められ、第一歩を踏み出したという感がします。

 このことについては、事実行為としての税務調査手続の新設と制度としての制度不公平是正(制度改正)に分けて述べることにしたいと思います。


  1.税務調査手続の新設

 改正前の税務調査手続は、各税法毎に課税庁が行う質問検査の内容と行使(質問検査権)を法定するのみで質問検査権を受ける納税者側の権利救済については何らの法定もなく、わずかに通達で税務調査の始期の通知のみがあり、その終了について何の定めもありませんでした。

 今度国税通則法の改正により、その手続が同法に次のとおり法定されることになりました。

 (1) 税務調査における事前通知(改正法74の9、74の10)

 (2) 税務職員による質問検査権(改正法74の2他)

 (3) 税務調査終了の際の手続(改正法74の11)

 (4) 税務調査に係る提出・提示物件の要求等(改正法74の2@、127三)


 すなわち、税務調査始期の事前通知については弊害のある者を除き原則として調査対象者(税務代理人を含みます)に事前通知を行うこととし、質問検査権については、各税法の規定を削除し国税通則法に集約して規定しました。
 さらに税務調査の終了については、調査内容の説明、修正申告の勧奨及び終了通知(申告是認の場合は書面交付)を行うことを規定されました。
 なお、改正調査手続で留意すべき事項は、提出・提示物件等の要求であり、その違反については罰則(1年以下の懲役又は50万円以下の罰金)が規定されたことです。


  2.制度改正

 国税通則法において官尊民卑のシンボルとされてきた更正の請求(期間1年、課税庁の増額更正3年)については、次の通り改正されました。

 (1) 納税者が更正の請求を行うことができる期間を5年に延長します(改正法23@)。

 (2) 課税庁が行う更正決定の期間(3年)を5年に延長します(改正法70@)。

 すなわち、これにより更正の請求の期間と更正決定の期間が一致することになりました。
(改正所得税法231の2)

 その年の前々年の所得金額300万円以下の事業者にも記帳義務・記録保存義務が課せられることになりました。

 (4) (3)も含めて原則としてすべての更正決定について理由附記を行うこととなりました(改正法74の14@)。

(適用)税務調査手続の新設及び制度改正については、平成25年1月1日から適用することとされています(改正附則39@、40、8)。


 U 3月の税務
 3月は、所得税の確定申告が15日に終り一息入れたい月でしょうが平成24年度税制改正の成否の月でもありますので注目して下さい。


法学博士・税理士右山昌一郎
記事提供:ゆりかご倶楽部







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