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タックスニュース
2012.01.30


社外取締役の本来の役割



 大王製紙、オリンパスと、企業のコンプライアンスに関わる巨額の損失事件が立て続けに起こりました。

法制審議会を初めとして、日本の企業統治のあり方が随所で議論・検討されています。

 大王製紙には「社外取締役」はいませんでした。
オリンパスにはいました。
しかし、事件は起こりました。
大王製紙については今後「社外取締役」や「内部通報制度」などを充実させるという検討がなされているようです。

 両社に共通する社外取締役とはどういう存在なのでしょうか?
日本のサラリーマン社会では、出世街道を歩いてほぼゴールに近づいたというのが取締役、という常識がありました。

しかし、社外取締役というのは、会社に対して何の貢献もなく、突然無関係な人が取締役会に名を連ねるのです。

 社員にとっては美味しいとこだけ社外取締役が持っていくという感情を抱くかもしれません。

日本の企業というのは終身雇用型の色彩が強く、良かれ悪しかれ会社の風土に染まって長年勤めます。

そうするとみな似たような考え方を持つわけで、そこで社外取締役が登場し、社外の新鮮な目で会社の意思決定を監視するのです。

つまり、社外取締役は会社の経営陣から独立した立場での「チェック役」です。

直接、業務執行に携わらず、経営陣の職務執行に問題がないか目を光らせます(オリンパスの場合は、そこがグズグズになっていました)。

 社外取締役の役割というのは、何も会社の細かいことを知っている必要はなく、監督機能が一番です。

経営陣が十分ルールに則って意思決定しているか、重要な案件についてよく検討した上で物事が決められているか、社外の目を通して監督することが仕事なのです。

 社外取締役はどうやって選んだらいいのでしょうか?

利害関係がなく、そこそこの人物というのはなかなか見つからないのではないか、と考えがちですが、すでに社外取締役を斡旋する会社もできていますし、報酬も普通の取締役に比べて一般的に安く、月額で50万円前後の報酬(日本能率協会調べ)というところが多いようです。

 社外取締役として相応しい人物は、やはり現職のCEO、あるいはCEOであった人、それに準ずる仕事をしてきた人でしょう。

他社での経験を踏まえて、経営という観点からアドバイスがもらえるからです。

次には役人OB、ジャーナリスト、弁護士、公認会計士、税理士など。

様々な分野での見聞がきっと意思決定に役立つと思います。
重要なのは、社長の人脈から社長が御し易い人物をえらんでいてはダメだということです。

 一方、社外取締役を受ける立場で言えば、ほかの会社の社外取締役をやるということは勉強になり、ほかの会社がどのようなプロセスで意思決定をしているかがわかります。

会議への参加がほとんどなので、時間的にもさほどの負担にはならないでしょう。
有望な人物を見つけたときは積極的にアタックしてみてはどうでしょうか。

 社外取締役が機能している会社では、「今までの役員会に比べ緊張感が増す」、「まったく違う視点からの意見が出て、議論が軽く流れなくなった」などの意見が聞かれます。

社外取締役は世界標準です。一考してみてはいかがでしょうか。


(記事提供者:(株)税務研究会 税研情報センター)


記事提供 ゆりかご倶楽部








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