タックスニュース
23.03.25


成長戦略とは呼べない法人税率の引下げ


 りそな総合研究所は、「法人税率の引下げは成長戦略と呼べるのか?国際競争力が高まっても、国内雇用が増えるとは限らない」と主張するレポートにおいて、

国際競争力の確保を目指す観点から、政府では税制改革の一環として、消費税率引上げとともに法人税の実効税率を現行の約40%から30%まで引き下げる方向で議論を進めていることを公表しました。

 法人税の実効税率をまず5%幅下げた場合には、少なくとも年1兆円の税収減になるといわれております。

 同レポートによりますと、「日本の法人税率は海外に比べて高く、韓国をはじめとするアジア企業との競争上、非常に不利というのが主な理由で、この理由自体は非常に分かりやすく、反対意見を持つ人は少ない。
ただし、これを成長戦略として位置づけるには少々違和感がある」としています。


 この背景には、直近の景気拡張期(2002〜2007年)に、企業が過去最高の好決算を続けながらも、特に製造業において、雇用環境の改善にほとんどつながらなかったためだと述べております。

 例えば、2001年を100とした場合の製造業の経常利益は220以上に、非製造業でも180を示しているにもかかわらず、従業員数及び従業員給与は製造業では100を切り、非製造業でも120以下という状況となっております。

 また、設備投資の押上げ期待についても、今後の企業戦略をみる限り、厳しくみておく必要があり、国内よりも海外売上の増加を目指す企業が増える以上、設備投資も海外で行われるのが自然で、国内への寄与は大きく期待できないとしています。

 さらに、注意すべきは、賃上げ抑制や海外での設備投資は、海外市場の成長性や競争環境といった要素から判断された極めて妥当な行動であり、法人税率の引下げが影響を与える余地はあまり大きくないとしています。


 つまり、「法人税率の引下げが国際競争力を高めはするものの、企業利益の押上げに終わる可能性もあり、国内景気の上昇に直結するとは限らない点で成長戦略とは呼びにくいと考えられる」と述べております。


(注意)
 上記の記載内容は、平成23年3月4日現在の情報に基づいて記載しております。
 今後の動向によっては、税制、関係法令等、税務の取扱い等が変わる可能性が十分ありますので、記載の内容・数値等は将来にわたって保証されるものではありません。


記事提供 ゆりかご倶楽部








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