タックスニュース
23.07.27


公益法人の申告漏れ所得約14%増の186億円


 国税庁は、2009事務年度(2009年7月から2010年6月まで、2010事務年度は未発表)における公益法人等の課税事績を発表しました。


 それによりますと、公益法人等に対する実地調査は、2010年6月までの1年間に1,361件(前年度比4.1%増)に対して行われ、うち922件(同6.8%増)から前年度に比べて13.6%増の総額185億6,300万円の申告漏れ所得が把握され、本税額12億9,500万円(同29.8%減)が追徴されました。


 これにより、調査1件あたりの申告漏れ所得は1,364万円(同9.2%増)となります。

 仮装、隠ぺいによる不正計算があったものは68件で、不正発見割合は5.0%、不正脱漏所得金額は2億8,300万円、1件あたりの不正脱漏所得は416万円でした。


 また、調査状況を組織区分別にみると、不正発見割合は「宗教法人」(7.1%)、「学校法人」(4.9%)が高く、また、調査1件あたりの申告漏れ所得金額は「学校法人」(2,225万円)、不正申告1件あたりの不正脱漏所得金額では「社会福祉法人」(839万円)がそれぞれもっとも多い結果となりました。


 公益法人等については、税の優遇措置が設けられており、社会的関心も高いことなどから、国税庁では、事業規模が大きいなど調査必要度が高い法人を中心に、的確かつ効率的な調査に取り組んでおります。

 その結果、事業規模が大きい法人に対する調査件数は591件となっており、実地調査件数1,361件全体の約43%を占め、収益事業に係る収入計上漏れなど、申告漏れ所得金額は135億円となっております。


 調査事例をみますと、書籍に販売による収入を除外していた学校法人のケースがありました。

同法人について調査を実施したところ、書籍の販売により得た現金収入を除外し、除外した現金は事務所内の金庫に現金管理されていたほか、理事長の個人的な費用に充てられていました。


 なお、2009事務年度における公益法人等の法人税の処理件数は、前年度から0.4%増とほぼ横ばいの3万3,123件でした。

 内訳は、「宗教法人」が1万3,021件(前年度比0.1%増)、「財団・社団法人」が1万1,153件(同1.4%減)、「社会福祉法人」が1,503件(同6.6%増)、「学校法人」が2,094件(同1.9%増)などとなっております。



(注意)
 上記の記載内容は、平成23年7月14日現在の情報に基づいて記載しております。
 今後の動向によっては、税制、関係法令等、税務の取扱い等が変わる可能性が十分ありますので、記載の内容・数値等は将来にわたって保証されるものではありません。



記事提供 ゆりかご倶楽部








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