タックスニュース
23.07.04


平成23年7月の税務トピックス


 T 平成23年6月までに発布された法令等

 ○ 平成23年度税制改正法案に係る法的手当て

 平成23年度税制改正法案(以下「同法案」といいます。)は、租税特別措置法の一部が「国民生活の回避するための暫定措置」の名目で「つなぎ法律」として同年6月30日まで延長されました。

しかし同法案の審議は、東日本大震災の影響もあり実質審議がないまま経過してきたということができます。
 
 その後菅総理の辞任表明を機に与野党合意(民主党・自民党・公明党)が6月8日に成立し、今後の同法案の処理は、次のようになることになりました。


 1.同法案の処理

 同法案を次の3つに分けて今後審議します。

  (1) 税制抜本改革の一環をなす改正(同法案を修正し、存置する法律案)

  (2) 政策税制の拡充・納税者利便の向上・課税の適正化(別途の新たな法律案として国会に提出します)

  (3) 期限切れ租税特別措置法の延長等(別途の新たな法律案として国会に提出します)


 2.各法案の今後の審議

(1) 税制抜本改革の一環をなす改正

 この改正は、平成20年度を含む3年以内の景気回復又は2010年代の財政構造の確立の一環として行われるものです。

 具体的には、

@個人所得税(特定支出控除の見直し、成年扶養控除の縮減、給与所得控除の上限設定、短期勤務の役員退職金課税の見直し)

A法人課税(実効税率の5%引き下げ、課税ベースの拡大等「減価償却・欠損金繰越控除の見直し等」、中小法人に対する軽減税率の引き下げ、中小企業関係租税特別措置法の見直し)

B資産課税(相続税の基礎控除の引き下げ・税率構造の見直し、贈与税の税率構造の緩和・精算課税の対象拡大「孫」)

C消費課税(地球温暖化対策のための税の導入「石油石炭税の税率の上乗せ」)

D納税者権利憲章の策定等国税通則法の抜本改正

 これら@〜Dの事項については、復興のための23年度補正予算の検討と併せ、各党間で協議し、一定の成果を得ることとします。また地方税法案についても同様の扱いとします。


(2) 政策税制の拡充・納税者利便の向上・課税の適正化

 この改正は、現下の厳しい経済状態及び雇用情勢に対応する法案を同法案から切り出して審議し、6月末までに成立7月1日に施行されるものです。

その内容は次のとおりです。

〔内容〕雇用促進税制等政策税制の拡充、寄附金税制の拡充、その他納税者利便の向上・課税の適正化等

「年金所得者の申告不要制度の創設、租税罰則の見直し、航空機燃料税の税率引き下げ等」


(3) 期限切れ租税特別措置法の延長等

 この改正は、つなぎ法律で継続してきた措置法も含めて審議し、6月末までに成立7月1日に施行されるものです。

その内容は、次のとおりです。

〔単純延長〕つなぎ法律を参考として下さい。

〔拡充の上延長〕中小法人に対する税率軽減「本則22%→特例18%」、離島に係る航空機燃料税の軽減等

〔縮減の上延長〕肉用牛の売却による農業所得の課税の特例、公害防止用設備の特別償却、e−Taxによる申告の所得税額控除等

(注)(2)及び(3)について地方税も同様の扱いとします。

 U 7月の税務
 所得税の予定納税額の減額申請(7月15日期限)及び同税の納付(8月1日期限)があります。
多忙な業務の月ではないと思われます。今月は税理士法施行(昭和26年7月15日)60周年になります。



法学博士・税理士右山昌一郎

記事提供 ゆりかご倶楽部








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