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適格年金廃止 放置するとこんなに痛手



 代表的な企業年金制度として広く普及している税制適格退職年金、いわゆる「適年」。

従来、厚生年金基金とともにわが国の企業年金の2本柱とされてきましたが、平成24年3月31日をもって廃止されることが決まっています。

そのため、既存契約を完全廃止までにほかの制度へ移行することが求められています。

 適年廃止に伴う対応策としては、@厚生年金基金、A確定給付企業年金(基金型・規約型)、B確定拠出年金(企業型)、C中小企業退職金共済へ移行するか、制度の廃止などがあります。

 ABは、適年廃止にともない創設された制度ですが、適年とは制度設計や資産の積立基準が異なるなどの理由から、スムーズに移行が進んでいないのが現状です。

 ただ、このまま放置しておくと、経営上大変なリスクを負いかねません。

仮に適年実施企業が完全廃止までにほかの制度に移行もしくは廃止の対応を行わなかった場合、「税制適格」ではなくなり、税の優遇措置が受けられなくなります。

 この場合の企業が受ける影響としては、全額損金算入が認められている掛け金が否認され、損金不算入となります。

また、運用益についても、非課税措置が受けられなくなり課税対象となります。

このほか、同22年度末には凍結措置が解除される予定の企業年金の積立金に課税する特別法人税についても、1.173%が課税される可能性が出てきます。

 従業員の影響としては現在、掛け金は生命保険料控除の対象となっていますが、廃止後も同様に認められるかは分かりません。

 適年廃止にともなう対応策としては、制度移行と解約の2つがあります。

解約した場合、分配金が発生するため、従業員は一時所得が発生します。

一時所得の場合、特別控除額が年額50万円となるため、その年のほかの一時所得と合わせて50万円を超える場合に課税が発生します。

制度移行の場合は、過去分資産の配分をせずに移行すれば、課税関係は生じず移行が可能です。


(エヌピー通信社)


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