タックスニュース
210212


卒業パーティーは「接待」!?



 交際費判定を巡るトラブルで、納税者の主張を認めた興味深い事例を国税不服審判所が公開しました。

 請求人は、全国で数千の料理教室を展開するA社。

A社は所定の授業課程修了者を対象に卒業式を行いましたが、卒業式で振舞われた昼食の費用が問題となりました。

 A社は卒業式費用約1800万円を広告宣伝費として損金に算入したところ、原処分庁は卒業式費用のうち昼食等費用約1500 万円は交際費であるとして、所得金額と本来納付すべき税額の更正処分、および過少申告加算税の賦課決定処分を下したのです。

 租税特別措置法は、交際費を「その得意先、仕入先その他事業に関係のある者等に対する接待、供応、慰安、贈答その他これらに類する行為のために支出するもの」と定めています。

 卒業生は講師の資格取得者。
さらに特定講座を修了すれば、教室を開設することもできます。

そのため、原処分庁は卒業生を「請求人の事業関係者」と判断。
酒食の提供があり、供応・接待目的であるとしたわけです。

 処分を不服としたA社から審査請求を受けた審判所は、
@受講生を指導する立場になる区切りの行事として、免状授与を中心に行われる、
A規模拡大で会場がホテルになった、
B卒業式が長時間に及ぶため昼食時間をまたがって行われている、
C食事は社会通念上と認められる範囲内で、酒類は儀礼的な乾杯用のみ提供

――これらの事情を総合的に判断。
昼食の供与は「卒業式を構成する一要素。

事業関係者等の取引関係の円滑な進行を図ることにあるとは認められない。

したがって、交際費等には該当しない」として、原処分庁の処分を取消しました。






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