タックスニュース
211204


マンション経営 自販機設置で消費税還付? 節税テクに



 会計検査院はさきごろ、マンション経営で租税回避を行う手法が横行しているとし、実態を調査するよう財務省に要請しました。

その内容は、決算検査報告書に盛り込まれる予定です。

 手法とは、賃貸マンションやアパートを建設した際に合わせて自動販売機を設置し、消費税還付を受けるというものです。

 マンションやアパートといった賃貸物件を経営する場合、建設時に払った消費税は本来ならば還付を受けることはできません。

原則、多重課税を避ける観点から、事業者は売上げにかかる消費税から仕入れにかかった消費税を引いた額を国に納めます。

逆に仕入れにかかった消費税の方が多ければ税金は還付されます。

ですが、住居用賃貸物件の賃料は非課税であり、計算の元になる売上げ消費税がないため消費税還付の対象外です。

 ですが自販機を設置するだけで、「合法的に還付を受けられる」のです。

 これは、消費税の仕入税額控除の「95%ルール」を使ったもの。95%ルールとは、仕入税額控除の計算上、課税売上げ割合が全売上げの95%以上を占めれば、事業にかかる仕入れ消費税額の全額を控除できるという制度のことです。

 初年度の課税期間の賃貸経営売上げをゼロにし、自販機売上げのみとすれば、自動的に課税割合は100%となります(ほかに事業を行っていない場合)。

これにより95%ルールがクリアとなるため、「賃貸経営の仕入れ消費税(実際はゼロ)+自販機の売上げ消費税」から「賃貸経営の仕入れ消費税+自販機の仕入れ消費税」を差引くことができます。

 これまで国も存在は認知していましたが、法改正の動きはなく、具体的な対策は先送りされてきた格好です。

 規制を行うとなると、@個別対応方式の税額計算を義務化A仕入額控除の税額調整を免税業者にも適用――などが考えられますが、一長一短。
今後の動向に注目が必要です。

<情報提供:エヌピー通信社>


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