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タックスニュース
200513b


非上場株における相続税の納税猶予制度



非上場の自社株の相続に関しては、農地の相続のように、農業相続人に対する「相続税の納税猶予」のような制度は存在しませんでした。

そこで、今般、中小企業庁の肝いりで創設された「中小企業における経営の円滑化に関する法律」とあいまって、「取引相場のない株式等に係る相続税の納税猶予制度」が創設されることになりました。
そこで、この制度の概要とその問題点について若干ふれてみたいと思います。

(1)自社株対策は不要になったか
 専門誌等では、この税制の導入で自社株の対策の重要性は薄れたと報じていますが、本当にそうなのでしょうか。
 改正案では、自社株の80%の相続税を納税猶予すると言っていますが、これは発行済株式数の3分の2が上限です。
ですので、割合的には53%程度しか対象になりません。     
したがって、従前と同様に何らかの対策(社員持株会の創設等)が必要なのではないでしょうか。

(2)株式保有の要件
 改正案では、相続税の納税猶予は、相続人が死亡時まで保有し続けた場合等一定の場合には免除となっていますが、成就しがたい要件です。
農地でさえ20年間農業を継続すれば納税猶予は免除されることになっています(三大首都圏の農地は除く)ので、農地と比較すると厳しい要件です。

(3)被相続人と後継相続人の要件
 被相続人及び後継相続人は、同族関係者と合わせて50%超保有、かつ、同族関係者(後継者を除く)の中の筆頭株主である代表者であることが要件となっています。
しかし、この同族関係者ですが、親族の範囲より狭められてしまうと、要件を満たさなくなりこの制度の適用が受けられないことも想定されます。

(4)その他の諸要件
5年間の代表者及び事業並びに雇用の80%の維持継続要件等がありますが、これも成就しがたい厳しい要件です。
なお、改正案の施行日は、平成21年度税制改正で創設し、平成20年10月1日より施行となっていますので留意が必要です。







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