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タックスニュース
Tuesday,Novenber 21,2017


《コラム》住宅ローン控除と租税回避


資金に余裕がある人は住宅ローン不可?

 ネットサーフィンしていたら、「租税回避行為に関する一考察」という論文に遭遇しました。

その論文は、冒頭の部分で、「住宅借入金等特別控除の制度があるが、この制度を利用するために、納税者が、居住用家屋を取得するに当たって、銀行に十分な預金があるにもかかわらず、銀行からの借入によって住宅建設資金を調達し、税額控除を受けた場合、租税回避として否認されるのであろうか」と問いかけをし、その論文の、末尾の部分で、「他に正当な理由がないとすれば、租税回避目的が主たる目的の場合に該当する可能性が大であろう。

・・・・住宅借入金等特別控除の制度は税法上の固有概念であり、かつ、課税減免規定であることからすると目的論的解釈からしても否認されることになろう」と書かれていました。

 税務調査にでもなって、先に、資金の余裕は十分という言質をとられてから、偽り不正と指摘されたら、逃げ道を失うことにならないでしょうか。

もっと過激に贈与税回避も

 親の預金を担保にした預金連動型住宅ローンだと、預金額より低い住宅ローン残高の金利は0%になり、金利負担がないことになり、毎年の110万円贈与と組み合わせたら、親からの、住宅資金贈与にかかる贈与税課税回避策にもなり、同時に所得税節減策にもなります。

 そうすると、こんなのも勿論、否認される、と言われますね。

目的論的解釈って何だ

 全て適法だが、その課税回避行為は制度を濫用している、というのが不当行為計算否認なのに対し、全て適法に見えそうだが、法の趣旨目的に合致することという要件を付加して解釈をすると不適法との結論になる、というのが目的論的解釈です。

 外国税額控除余裕枠彼此流用訴訟や旺文社HD訴訟での判決で採用されたと言われています。

 租税法律主義は憲法規範であり、課税要件の法定、課税要件の明確、により課税の予測可能性を確保することを内容としているという原理を踏まえると、条規の文理からは予測できないような解釈になるのは、容易に採用されるべき解釈方法ではない、のではないでしょうか。


記事提供:ゆりかご倶楽部






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11月21日朝時点での新着情報は、以下の通りです。

国税庁ホームページ掲載日:平成29年11月20日

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