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ネット株取引の普及で譲渡所得の税務調査が増加



 国税庁が「平成18事務年度における所得税及び消費税調査等の状況について」を公表しました。
同調査は全国の税務署が平成18事務年度に実施した、所得税および個人消費税に係る税務調査の状況を明らかにしたものです。

 なお、「事務年度」とは、7月1日から翌年6月30日までを1単位とした年度をいいます。この期間に各年度(4月1日から3月31日)に行われた税務申告等に係る事務(調査など)を実施するため、事務年度という言い方をするようです。

 同公表結果によると、平成18事務年度に実施された所得税調査等の総件数は79万4956件(前事務年度80万6769件)、所得税(譲渡所得)が8万1253件(同6万7234件)、個人消費税が9万6443件(同7万2639件)でした。

 このうち所得税の調査等の件数については、平成14事務年度以降、76万8千件→79万9千件→78万1千件→80万7千件と約80万件前後で推移しており、平成18事務年度の状況(79万4956件)も例年並といってよいでしょう。

 また、所得税の調査等の結果、申告漏れ等の非違を指摘されたのは調査等件数の72.3%にあたる57万4785件で、申告漏れ所得金額は9166億円、追徴税額は加算税を含めて1243億円でした。これも例年並の水準です。

 一方、所得税(譲渡所得)の調査等の状況では、調査等件数が前事務年度比で21%、非違件数が35%、加算税を含めた追徴税額が16%も増えています。

 譲渡所得とは、土地、建物、株式、ゴルフ会員権など、資産の譲渡による所得をいいますが、これについて調査等が増加しているのは、株式等の譲渡所得に対する調査等が前事務年度よりも63%も増加して3万608件となったためです。

株式のインターネット取引が普及した結果、いわゆるネットトレーダーが爆発的に増加し、その中には故意、非故意を問わず申告を忘れたり、誤った申告をする人が多いのだと思われます。

 また、譲渡所得の調査等件数のうち1030件はFX(外国為替証拠金取引)についてのもので、FXがハイリスクハイリターン型の取引のためか、非違を指摘された1件あたりの申告漏れ額は2176万円と非常に高額になっています。

 なお、毎年話題になる「1件当たりの事業所得の申告漏れ所得金額が高額な上位10業種」ですが、平成18事務年度はキャバレー(前事務年度4位)が1件当たり2769万円で1位。2位は貸金業(同1位)2648万円、3位は風俗業(同2位)2113万円で、4位の情報サービス業1599万円は初めてのランクインです。







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