マネジメントニュース

190326


【weekly】アマンリゾートの人材育成



 世界中のリゾートホテルのなかで、最高峰と言われる「アマンリゾート」。

ある雑誌の対談で「このホテルでは、なぜ、従業員全員がすばらしいサービスを提供できるのですか」という質問に、支配人が「Management by walking around」つまり、現場を歩き回ること、それも、その現場の人と一緒に歩くことだと答えていました。

ホテル業は、上司と部下が常に一緒にいるわけではありません。
つまり、ハプニングが起きた場合、現場の人は、自分の判断の下、とっさに、仕事をこなしているということです。

現場の人が対応を間違うことは、お客様を失うことになりかねません。
だから一流のホテルでは、支配人と現場の人が一緒に現場を見てまわること、そして、その行動ひとつひとつに支配人が気を配ることは、当然のことだといえるでしょう。

 さらに、質問者は「それだけですか」と続けて問いました。
支配人は「それだけです。そして、その際、例え間違いがあったとしても、決して、こちらから絶対にこうしろと言ってはならないと思うのです。

例えば、フロントに花が飾ってあるとします。
私は、ちょっと変だと思ったとする。

しかし、そのときには、現場の担当者に「あの花どう思う」と聞くだけです。
「あの花を替えなさい」とは言いません。ただ会話をするのです。
そして、再度、事務所に帰って、もう一度聞きます。
「さっきのフロントの花だけど、どう思う」と。

それを繰り返しているうちに普通は「もう一度見てきます」となるのです。これが、最も重要なことです。
最初に、「あれを直しなさい」と命令すると、指示を待つ人間を育てることになるのです。最も怖いのは、指示を出す人間がいないと行動ができなくなることです。」と答えました。

 さらに支配人は、「重要なことは、「もう一度見てきます」と言えるような雰囲気を、また、そういう場をどう作るかだと思います。

声の大きさだけで人を引っ張っていくと、指示を待つ人間しかいなくなります。
それでは、ホテル業は成り立たないのです。」とも言っています。

 経営者として、欲しい人材を考えたとき、もちろん、専門的なスキルがいろいろと身についている人材も魅力ですが、企業という枠の中で考えたとき、最も欲しい人材は、何か起きたときに、「どういう判断をするか」をしっかりと考え、発言なり行動なりできる人間であるはずです。

つまり、判断基準が、自分と同じであることが、経営者の最も欲しい人材であると思うのです。

 経営者にとって「人材育成をする」ということは、「とても長い時間、忍耐を続ける」という意味です。

経営者は、部下へ考えるような場を提供し続けるということです。
「方針に従わない。クレーム処理をすぐにしない。」といった場合、時には、大きな声を出して叱る必要があるでしょう。

つまり、怠慢による失敗ですね。しかし、これ以外は、叱るのではなく、なぜそうなったかを教える、もしくは、考えさせるという場の提供を続けていかないと自分と同じ判断基準を持った人間は、育たないのではないかと思います。

つまり、人材育成とは、忍耐の連続であるということを、忘れないでほしいのです。

 とても、時間のかかることです。でも、それができたときには、他社に類をみない差別化ができあがっているのではないでしょうか。

 私は、昨今の差別化戦略の中で、最も真似のできないものは、「独自の組織風土」を創り上げることだと思います。

記事提供者:株式会社上坂経営センター ゆりかご倶楽部






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