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タックスニュース
190704


企業発行ポイントに「消費者保護ルールは必要なし?」



 経済産業省が「企業ポイントのさらなる発展と活用に向けて」と題した報告書を公表しました。
 
 現在、量販店を中心に普及しているポイント(企業ポイント)には、実質的に現金と同様の価値があるとともに、多くの個人情報を含んでいます。
しかし、それにも関わらず、それらを保護するための法整備はかなり遅れているのが現状です。

 こうしたことから、経済産業省では企業ポイントについての法整備を進めるために「企業ポイント研究会」を同省内に立ち上げ、今年6月を目処に方針を発表する予定・・・というのが、今年はじめに報道された内容でした。

 ところが、今回の報告書を見ると、少し事前の報道内容とはイメージが異なるものになっているようです。

 それというのも、同報告書に記載されている「企業ポイント研究会の目的」では、企業ポイントをより魅力的に発展させていくことを目的に、ポイント制度の適正化を図るといったようなことが記載されています、つまり、消費者保護のためのルール化という観点ではなく、「企業の新たな販売促進策としてポイントの普及を図る」ことを優先しているようなのです。

 そのため、同報告書では、現状におけるポイント制度の実情や有効性、将来ビジョンについて多くのページが割かれています。

消費者保護について記載されているのはわずかに3ページ。

さらに、その大半は個人情報保護に関するもので、ポイントの現金的価値の保護(=ポイントの継続性)については、以下の対応を「可能な限り配慮することが望ましい」とする中途半端な対応に止まっています。

■ポイント交換時に、交換の諸条件と交換レートを明示する
■交換ができなくなる場合等、消費者の不利益が生じる場合は適正な事前開示を行う
■ポイントの内容や利用条件等を変更する場合は、事前告知を行う
■盗難、紛失、不正使用などが発生した場合、被害拡大防止や被害者救済を図る

 つまり、今回の報告書は、企業ポイントに関する消費者保護は各企業の企業努力に任せ、「公的ルール(法整備等)は必要無い」とする報告になっているようなのです。






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