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税務会計ニュース

171004


「所得税法基本通達60-2(贈与等の際に支出した費用)」の新設等



 国税庁は、平成17年6月27日付の「租税特別措置法(株式等に係る譲渡所得等関係)の取扱いについて」等の一部改正について(課資3-7他)(法令解釈通達)等において、譲渡所得等の計算について、贈与、相続又は遺贈(以下「贈与等」といいます。)の際に受贈者等が当該資産を取得するために通常必要と認められる費用を支出したときは、当該資産の取得費に算入する取扱いを明らかにするために次の通達を新設しました。

(贈与等の際に支出した費用)
 60-2 法60条第1項第1号に規定する贈与等により譲渡所得の基因となる資産を取得した場合において、当該贈与等に係る受贈者等が当該資産を取得するために通常必要と認められる費用を支出しているときは、当該費用のうち当該資産に対応する金額については、37-5及び49-3の定めにより各種所得の金額の計算上必要経費に算入された登録免許税、不動産取得税等を除き、当該資産の取得費に算入できることに留意する。
 (注)当該贈与等以外の事由により非業務用の固定資産を取得した場合の登録免許税等については、38-9参照

 この通達の新設は、贈与等により譲渡所得の基因となる資産を取得した場合には、受贈者等がその取得に係る支出した費用を譲渡所得の金額の計算上、取得費を構成しないとする従来の取扱いを改めたものです。

 これは、平成17年2月1日の最高裁判所の「贈与に係るゴルフ会員権の名義書換料は、取得費を構成する。」とした判決を受けて、ゴルフ会員権の名義書換料のみならず、例えば、不動産登記費用、不動産取得税、株券の名義書換手数料等を当該資産の取得費に算入するとした情報を発し、平成17年分確定申告期において緊急是正したものですが、今回はこの措置を恒久化したものといえます。

さらに新設通達にある、所基通37-5(固定資産税等の必要経費算入)及び同49-3(減価償却資産に係る登録免許税等)に係る必要経費算入についても、注書で「贈与等により取得した資産を含むものとする。」として、取得費算入のみではなく必要経費算入についても定めています。

ただし、必要経費算入については、通達の(経過的取扱い)において(平成17年1月1日以後に取得する資産について適用する。)とされています。
 これらの通達の発遣で最高裁判決の判示が、実務上税務行政において実現されたということができます。








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