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税務会計ニュース170927【時事解説】共同事業に役立つ新事業体の活用平成17年8月1日から有限責任組合法が施行され、会社でもなく組合でもない新たな事業体「有限責任事業組合(LLP=Limited Liability Partnership)」の設立が可能となりました。 LLP制度は、ベンチャーや中小企業と大企業との連携、中小企業同士の連携、大企業同士の共同研究開発、産学連携など、専門的な知識や能力を持った人や企業が力を合わせ、新たな事業に取り組む「共同起業」を促すことを目的として経済産業省主導で創設されました。 もともと海外では、創業を促し、企業同士のジョイント・ベンチャーや専門人材の共同事業を振興するため、会社の利点を取り入れた有限責任組合(LLP)や組合の利点を取り入れた有限責任会社(LLC: Limited Liability Company)が制度として整備されており、大きな効果を上げている。 英国では、2000年に創設され、1万社を超えるLLPが、米国でもここ10年間で株式会社の設立100万社に対して、LLCは80万社が誕生している。 このLLPの特徴は、 @有限責任制をとり、出資者は出資額までしか責任を負わない。 A内部自治原則は、利益や権限の配分が出資金額の比率に拘束されず、また、取締役会や監査役のような経営者に対する監視機関の設置も強制されない。 B課税は、LLPに課税されずに、出資者に直接課税(構成員課税)される。 つまり、株式会社のように法人課税が課せられた上に、出資者への利益分配にも課税されるということがない。 以下のような共同事業の創業に活用が考えられる。 ○大企業同士の共同事業(共同研究開発、共同生産、共同物流、共同設備集約など) ○中小企業同士の連携(共同研究開発、共同生産、共同販売など) ○ベンチャーや中小・中堅企業と大企業の連携(ロボット、バイオテクノロジーの研究開発など) ○異業種の企業同士の共同事業(燃料電池、人工衛星の研究開発など) ○産学の連携(大学発ベンチャーなど ○専門人材が行う共同事業(ソフトウェア開発、デザイン、経営コンサルティングなど) ○起業家が集まり共同して行う創業 ○農業やまちづくりといった分野 このように、LLPは、法人や専門家の能力などを活用する事業、ハイリスク・ハイリターンな事業、共同研究開発、事業としての期限が設けられているような事業などには使い勝手のよい事業体であり、今後も活用例が広がる可能性がある。 共同事業を企画している方は検討されてみてはどうだろうか。 |
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